明治中期の手彫り印鑑 (続)

明治中期の印譜から手彫り印鑑印影の続きです。



一見普通の篆書体角印に見えてしまうかも知れませんが、篆書体の折り畳みは

昔ならではのものです。(折り畳み回数が多い篆書体です)



これは大篆風の斜め彫り印鑑です。

細枠の二重枠に柳葉篆(笹文字)ですが、心越に代表される今體派の名残りがある

深い意味のある作風です。



上の写真だけでは大きさがわからなかったので、定規と一緒に撮影しました。

印章用語で2分5厘でしょうか。(約7.5ミリ)

二重枠のそれぞれの枠の細さと、定規の目盛りを比べてみて下さい。

ミクロ単位の技術である事がおわかりいただけるかと思います。



明治時代の印譜を続けます。

左上の分銅型印影など、素晴らしいもの尽くしの印譜は見ているだけで心が躍ります。



指差しマークの印影ですが、これも木口印章(普通のハンコ)です。

付箋代わりに使われたのでしょうか。

今は仮に作るとしても、ほぼ全てゴム印でしょうね。



これはまた素晴らしい吉祥模様である鳳凰が密刻された印影ですね。

鳳凰に目を奪われそうですが、中央の印篆も素晴らしいです。

縁起を担ぐ吉祥模様であっても文字は印篆。

これぞ開運印鑑など無かった時代の「縁起のいいハンコ」です。



驚くべき事は、そのサイズです。

印章用語で3半(=三分五厘=約10.5ミリ)という小さい印面に、これほどまでの細かい

彫刻がされている事です。

定規と比較しますとミクロ単位である事がわかります。

もちろん手彫りです。

昔の人の技術に脱帽です。


手彫り印鑑


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