@「開運のハンコを作って(使って)いい事があった」

A「こちらの店でハンコを作ってから商売繁盛した」



という話はハンコ屋を営んでいればどのお店でも言われる事があると思います。

@はともかく、Aは私としても嬉しいです。

開運商法をしていない当店でも、お客様の意見をを真っ向から否定したりは致しません。

それに、ジンクス的に信じる位であれば悪い事だとは思いません。

しかし、どちらも錯覚であり、よく考えればおかしな考えである事は理解できるでしょうか。

ここはネット上ですし、具体的なお客様個人の事では無いのでハッキリと書きます。

「開運の印鑑を使ったから商売繁盛した」

これを真剣に信じている方 結構居るんです。

では

「昨日コンビニでおにぎりを買ったから今日は雨が降った」

これは信じますか?

えっ? 何の事? って感じですよね

真剣に言ったら笑われてしまいます。

コンビニでおにぎりを買ったから次の日雨が降ったのではなく

雨の前の日にたまたまコンビニでおにぎりを買っただけなんです。

コンビニとおにぎりの例えは私が即席で考えたものなんですが

仮に真剣に語ったとしても誰も信じないと思います。

ところが印鑑となるとどうでしょう。

お店の人の話や活字で開運について書いてあると、コロッと信じてしまう方は結構多いんです。

おにぎりはどこから見てもおにぎりですが

印鑑・特に、実印によく使われる「篆書体」は馴染みのない人が見ると

呪文や暗号に見えなくもないという事と関係します。

繰り返しますが、ジンクス的にハンコの開運を信じるのであれば問題はありません。

しかし、開運なる印鑑は「価値の無い
奇妙な字で作られた変なハンコ」なのです。

ヘンテコな印鑑を「いい物」と吹き込まれ、粗悪品と知らないまま使い続けてしまう。

こんな商売していいのでしょうか。

売れれば何でもいいのでしょうか。

見るからに詐欺師みたいな店から買ったのでしたら「注意不足」とも言えますが

実店舗、ネットショップを問わず、
普通のハンコ屋さん

この様な商売をしているのが問題です。


本題から外れますけど、前述「おかしな考え」というのについて

私はハンコ屋ですので、ハンコ以外の事は専門外で余談になりますが

「おかしいという根拠について」

文明の発展により世の中は随分変わり便利になりました。

科学の発展でも解明出来ない事は無数にありますが

今にちの発展は先人から続く地道な研究、開発、発明、観察、努力

などの積み重ねによって成し遂げられているのは言うまでもありません。

しかし、何の根拠も無い事が「概念」として広がったらどういう事になるでしょうか。

「コンビニでおにぎりを買えば次の日に雨が降る」

これが個人のジンクスを超えて「既成概念」として世界中に広まってしまう

こんな世の中だったとしたら今にちの発展はあったでしょうか。


福や吉は近年生まれた言葉ではありません。

中国に行けば至る所で福や吉という文字が溢れています。

古くからある文化、ならわしとしての福や吉を否定する気は毛頭ありません。

しかし、少なくとも今巷で売られているハンコで福や吉は全ていかがわしい物です。

(ハンコは福や吉の願いを果たす対象物ではありません)

「開運の印鑑を使ったから会社が発展した」のでは無いのです。

発展した会社のハンコがたまたま開運なる印鑑だっただけなのです。

個人で信じるのは一向に構いませんが

業者が自分の商売として、無知な一般のお客様を信じさせる為に

あえて奇妙に字を変形させた粗悪なハンコを

「開運」だ「吉」だ「末広がり」だと吹聴して売りつけてはいけません。

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