欠けやすい印材 横目象牙(横目印材)  

副題 欠けやすく彫りづらい印材で、いいハンコを彫れる訳がありません

まずは下の画像をご覧下さい。

実物の象牙の写真と、下には牙の方向を記した図、その両脇に印材をイメージした図があります。

左の印材は通常の印材で、右側は横目印材をイメージした図です。

シマ模様に書かれているのは、繊維の流れを示しています。

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一見、無造作に書かれているように見えますが、牙の方向で考えると写真を含め全て同じ向きで書かれています。

下段中央の「牙の方向」の図を中心に考えて下さい。

左の「通常の印材」は牙と同じ方向で、右の「横目印材」は文字通り横方向に印材をカットして作成します。

天然素材を使用した印材の耐久性を語る上で非常に重要な事があります。

それは「繊維の流れ」です。

実は木製の印材や水牛の角も同じ方向(木や角と同じ向き)で印材をカットして作られています。

実際に1本1本の繊維が肉眼で見える訳ではないのですが、手彫りをすれば感触で、特に木製印材は

繊維の流れの重要さがわかります。

横目印材が欠けやすい理由

それは印鑑を彫る時に、繊維を分断して彫るからです。

どんな形であろうと印鑑を彫るときは繊維を壊して彫る事になるのですが、横目印材の彫り方は、1本の繊維方向に

逆らって「断ち切る」かたちで彫るから欠けやすいのです。

上の図や私の説明で今一つピンとこない方は、印材を竹ひごの束や糸の束に例えて考えてみてください。

(竹ひごや糸を繊維と仮定します)

そのままではバラバラになってしまうので何かでぎゅっと縛り付け、印材の形にします。

それを上の図の通り、繊維の流れを考えタテとヨコで2種類作ります。

もちろん実際に字を彫る事はできないので、あくまでも字を彫るイメージをして下さい。

横目印材と同じ繊維の向きで作った「竹ひご」や「糸」の束は字の部分がバラバラになってしまうのは

実際に試さなくてもイメージできると思います。

横目印材が欠けやすいのはその理由からです。


どうも私の下手な説明ではわかりにくいという方は、大工さんに聞いてみて下さい。

建物を作る材木で横目と縦目を逆にして作る大工さんは皆無なはずですよ。

そんな事したら耐久性が悪くなりますから。

実際、横目で長い材料はとれませんので現実的には無理ですが、それでも大工さんならわかるはずです。

汚点だらけの印章業界の人に聞くより建築業界の人に聞いた方が正しい答えが返ってくると思います。



横目象牙の印材は、1本の牙から少量しか作成できないカット方法になりますので、値段は高価になります。

しかし、実際はモロく欠けやすい粗悪品です。

実際に作ってしまった方には大変いいづらい事ですが、はっきり言うと「無駄に高価な粗悪品」なのです。

もちろん昔はありませんでした。

開運商法の人が考え出して「昔から縁起がいいと言われています」というデタラメを謳(うた)い文句に

見えないインチキ商品が売り出されたのです。



【追伸】

「欠けやすい」という事は、単に「丁寧に扱えばいいんですね?」という事ではありません。

手彫り印鑑の場合、彫っている途中で文字が欠けてしまう場合もあるのです。

また、個体差はあるものの大変彫りづらい印材です。

「欠けやすく彫りづらい」という事は何を意味するでしょうか。

彫りづらい印材でいい手彫りが出来る訳ありません。

「私は技術が卓越しているから横目でも問題なく彫れる」という事を印章店側が言ったとしたら。

私から言わせれば、例え何か受賞した事のある職人であったとしても、商売に関してはペテン師ですね。

欠けやすい印材であれば、自分の技術を自慢する事よりも、お客様に普通の象牙印材を勧めるべきです。

そして、彫りづらくない(普通の象牙で)もっと最上級の技術を発揮すればいいと思いませんか?

一流のテニスプレーヤーが、ボコボコのコートで一流の力を発揮できるでしょうか。

プロ野球選手にしても、フィギアスケート選手についても同様です。

ボコボコのグラウンドでも、素人よりはプロ野球選手の方がいいプレイが出来ると思いますが。

きちんと整ったグラウンドがあってこそ、卓越した技能を発揮出来るはずです。

もっとも、ネット及び実店舗を問わず巷で「手彫り印鑑」として販売されているハンコの

99.9%は手彫りされておりません。

余談ですが、本当に手彫りされたものか否かを確認する方法は「写真」です。

詳しくはこちらのブログ記事(私が書いたものです)→手彫り印鑑を購入する際に重要な事

をお読み下さい。


「横目象牙に手彫りが良くないのなら、機械彫りでもいい」という考えの方。

横目象牙は高価な印材です。

「高価=高級ではない」事は前述した通りですが、高価な印材で機械彫りだなんて勿体ないです。


文責 はんこの印善

横目象牙とは(手彫り開運印鑑)
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