これは東京印章協同組合が昭和47年に発刊したカタログです。
昔のカタログにはいいハンコを語る上での貴重なヒントが沢山あります。
まずは画像から、そして説明をご覧下さい。
吉相体・印相体・変換・見本

印材が7本並んでいますが、全てに上下のしるしが付いていますよね。
これは上下のしるしがある部分のみピックアップしたのではなく、
このカタログの個人向け実印のページに載っている全てです。
少ないながら昔から上下のしるし「無し」印材はありましたが、
しるしは付いているのが一般的でした。
私一人がいくら「上下のしるしは有るのが一般的」と言っても、
大多数のネットショップでは「上下のしるしは無しがいい」と
書かれているので、私の言葉を信じる人は少ないでしょう。
しかし、このカタログの発刊者が私個人のお店ではなく、
東京印章協同組合である事を考えてみて下さい。

冒頭に「貴重なヒントが沢山あります」と書きましたが、
ヒントを明かす前に一旦「凶印」とか「凶相 印鑑」などの
キーワードで検索してみて下さい。
・「上下のしるしはいけない」
・「蓋(キャップ)付きの印鑑はいけない」
・「短い印鑑はいけない」
・「継ぎ足し印はいけない」
など書かれているはずです。
その言葉と上のカタログを比べてみて下さい。
また「太枠細字はいけない」とも書かれていると思いますが、
上の写真の印影6番と9番は太枠細字です。
いけないと言われている事が昔からの慣習や言い伝えだとしたら
ハンコの組合が集中的にカタログに載せるでしょうか。
尚、ページは異なりますが、凶相などと言われている小判型も崩し字(草書体)
もこのカタログには載っております。

尚、このカタログには印相体は一つも載っておりません。
(上の写真でご確認下さい)

このカタログの向かって左側にも開運印鑑を否定するヒントが載っております。
開運印鑑・吉相体・印相体・見本変換フォント

左ページを拡大したものです↓
印鑑開運、印相体、吉相体フォント変換見本

薄くて見づらいかも知れませんが、「印材寸法4.5cm」と書かれていますね。
上に書いた事と重複しますが、インターネットで「短い印鑑 凶」
と検索すると、私が書いたサイト以外は悪いだの何だの沢山出てきます。

印鑑は近年登場したものではない事は説明するまでもありません。
伝統や慣習を大切にする日本のいい文化の一つです。(※)
一般の方は詳しくご存じないと考え、ネット上ではいい加減な情報が
流れております。
カタログが発刊された昭和47年には、今のネット社会は想像も
出来なかった事でしょう。
誤情報で溢れた今現在、昔のカタログはいいハンコを知る上で
貴重な資料となっております。



手彫り印鑑


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