印鑑上下のしるしについて補足説明

「一息付けてよく考える為」わざと不便な印鑑を使う事を疑問視して書きましたが

「世の中便利が全て」だと主張している訳ではありません。

クレジットカードを例に挙げます。

クレジットカードの利用により買い物は格段と便利になりました。

現金の持ち合わせが無くても買い物ができ

またネットで買い物をした場合など夜中でも即時支払いが出来ます。

しかし、無計画にカードを使い、その決済(返済)で苦慮している人が多いというのは時々報道されます。

これは「便利が必ずしも最善という訳ではない」という事の例でしょう。

ですので、便利ではあるけれど「あえてクレジットカードは持たない」という人も居ます。

しかし、印鑑の「上下のしるし」をこの事例を同様に考えてしまうのは短絡的だと思います。

「一息付けて・・・しるしは無い方がいい」というのは確かに開運業者さんが考えたセールストークですが

開運書体のようにそれ自体が問題という物ではありませんので、よく考えた結果しるしの無い印鑑を

選ぶのは個人の好みですので問題ありません。

しかし、

捺印を慎重にする為に・・・  

印面を見て一息付いて・・・ 

その時に捺印していいかよく考える・・・

「その為にしるしの無い印鑑を使う」

本当にそれでいいのでしょうか。

という事は、印鑑の変わりにサインが主流の欧米では

気軽にサインしてしまわない様に書きにくいボールペンがいいとされているのでしょうか。

書きにくいボールペンであれば気軽にサインなどしないと思います。

強く押し付けないとインクが出ないのであればなお更です。

でも、実際そうなのでしょうか。

話を印鑑に戻しますが、ついでですから朱肉も「朱が付きにくい朱肉」にすれば

何回も朱肉に印鑑を付けますので、一息付けます。

でも、これはこじ付けですよね。

同様に印鑑もこじ付けに過ぎないのです。


悲しい事に印鑑は霊感商法などの商材にされます。

霊感商法の人だけではなく、開運業者の人も印鑑に目をつけたのです。

昔はほとんど全ての印鑑に上下のしるしが付いていましたが、開運商法の商材にされてから

しるしのある印材は開運商法のセールストークによって敬遠され始め

実印はしるし無しの印材が主流となってしまいました。


繰り返しますが、しるし無し印鑑そのものがいけないのではありません。

昔から使われてきた利便的なしるし付き印鑑を「よくない印鑑」と宣伝し、

こじ付けに過ぎないセールストークで使いづらいしるし無し印鑑を「いい物」として販売する

開運商法を私は批判しているのです。

そもそも、業者さんが言うセールストークそのままの物を買うのはいかがなものでしょうか。

このサイトを作った理由1理由2で書きましたが、印章業界はインチキデタラメばかりなのです。

開運を考える前にインチキ業者さんのセールストークを聞き分ける「耳」

いい物を探す「眼力」を持ちましょう。



重要な書類でしたら、印鑑の上下に気をとられず、その書類に集中してよく考えるべきです。

一息付けるのであればお茶かコーヒで一息付けてみてはいかがでしょうか。

うっかり忘れてしまうのであれば、印鑑の側面に「お茶」と書いたシールでも貼っていた方が

いいと思います。

まあここまではやり過ぎですが、「しるしの無い印鑑がいい」などという言い伝えや根拠は何もありません。



余談ですが

現在、個人の実印に使用される象牙印材は新品についてはほぼ100%しるし無しです。

ハンコ屋さんサイトでしるし無し印材は傷が無くていい物   
注1)しるし無し印材→無地と言います。   

というニュアンスで宣伝しているところが多くあります。    
注2)しるしを悪意ある「傷」と表現されています。

つまり、「無垢の物がいい」という意味合いです。

しかし、「しるし有り」印材の方が綺麗に削って更にその部分を研磨する必要があるので

印材を作る際は手間が掛かるのです。

更に、開運商法で無地印材を売り出した大きな理由は

しるしの無い印材の方が彫りやすいのです。

手彫りでも機械彫りでも、しるし有りの場合はきちんとしるしが上になるように台にセットしなくてはいけません。

しかし、無地の印材でしたらその手間が省けます。

しるしの有る印材を台にセットする際、仮に少しズレてしまっていたら彫刻した文字がズレて彫れてしまいます。

それではお客様に渡せません。

わかりますでしょうか。

しるしの無い印材は作るのも彫るのも手間が省けるのです。


本サイト内のリンク一覧
本サイト内の文章で付記説明の必要な語句にはリンク先で別途説明文があります。

inserted by FC2 system