目からウロコの話
左の写真は今ではあまり販売されていない「丹」入りの印鑑です。 (印材は柘[ツゲ]です)
ボディーの中央に金属製の「丹」という目印があり、印面の上下がわかりやすく捺印に便利です。
中央と右は東京印章協同組合の昭和47年のパンフレットです。
(昔はいいものが多かったので、あえて古いパンフレットを載せました)
印章組合のパンフレットに載っている印材のほとんどは「しるし」や「丹」が付いています。
上の説明(1)「傷は良くない」という言い伝え(?)や(2)「よく考えて捺印する為にしるしは無い方がいい」という慣習(?)が
仮に本当ならば、しるし付きや丹入り印材を印章組合がパンフレットに採用するでしょうか。
印章組合は「印章社会、印章文化の継承、発展」「正しい印章知識の普及」の為の社団法人です。
その団体が印章業界のマイナスになる様なパンフレットを作るのでしょうか。
そんなおかしな事をする訳ありません。
つまり、「しるし付きの印材は良くない(無地がいい)」などという話は嘘デタラメであり
「捺印の際ひと息付いて印面を確認するのでしるし無しがいい」というのは単なるセールストークに過ぎないのです。
これ以外でも開運印鑑販売業者さんのサイトにはいろいろな事が書かれています。
無断掲載は苦情が来る可能性がありますので具体的な話は書けませんが
丹入り、小判型、(45ミリ等の)短いハンコ、角印、斜め彫りの配字
牙次印(印の先端に象牙が埋め込まれているハンコで写真では白と黒の2色のハンコです)
などはことごとく良くない、不幸、不運、不吉な印鑑と書かれています。
しかし、開運の印鑑など広まっていない「古き良き時代」ではそれらのハンコは普通に使われていました。
では、昔の人は一律みなさま不幸、不運、不吉だったのでしょうか。
そんな訳は無いですよね。
不吉な単語に「印鑑」というキーワードを併せて検索をすれば簡単に探せます。
また、彫刻方法で枠を太くするのは(篆書体の場合)昔は主流でしたが(その場合は字は細くします)
「枠が太いとそれが壁となって収入が増えない・出世しない」などと語っている業者も居ます。
太枠の印影も組合のパンフレットに沢山載っています。
逆に、開運印鑑及び「縁起のいい書体」なるものは組合のパンフレットには一つも掲載されていません。
仮に開運印鑑や「縁起のいい書体」なるものが宣伝通り「いい物」であるならば、業界の発展を目的とする
印章協同組合が真っ先にパンフレットに掲載するのはずではないでしょうか。
「真っ先に」は別としても、微塵も掲載されていない現実を一般消費者の方は是非知って下さい。
ここまで読んでいただければ開運商法について少しは見識が変わったのではないでしょうか。
印鑑のネットショップサイトでは、「○○技術競技会で優勝」という方が
堂々と開運商法を行っています。
この様な方々は、技術者のプライドを捨て「印章文化はどうなっても構わない」という人です。
「そこまでは言い過ぎでは?」と思いますか?
辛口で批判するか否かは人それぞれですが、間違いなく言える事は
「せっかく象牙でハンコをつくっても、(開運なる)奇妙な書体で彫刻したら価値が落ちます」
「手彫り」でも、(開運なる)奇妙な字で彫刻したハンコは価値がありません。
実際、開運吉相書体のほとんどはコンピューター技術者が作ったもので
ネットで売られている印鑑はほとんどがコンピューター彫刻機械が作ったものです。
「いえいえ『手彫り仕上げ』と書いてありますよ」 ですか ?
・・・
知っていますか?
「手彫り仕上げ」とは手彫り印鑑の事ではないんです。
「手彫り」と書いてあるのに手彫りじゃない???
変な話ですね。
インターネット上で宣伝や販売されている「手彫り印鑑」の99.9%は手彫りされておりません。
「手彫り」を出来る職人さんは今でも結構居るのですが、ネット上では手彫りをしている写真だけ掲載し
実際の販売は「手仕上げ」か「機械彫り」の印鑑を販売している。
これがほとんどです。
「そんなインチキなんてごく一部のお店ではないんですか?」と思われるかも知れません。
しかし、現実は大部分のお店がインチキに係わっているのです。
開運印鑑というのは100%インチキで、手彫り印鑑は99.9%嘘・・・
信じられないでしょうか。
信じられないのも無理はありませんが、もし「開運印鑑」や「手彫り印鑑」を作る事を検討しているのでしたら
ここに書いてある事と「開運印鑑Q&A」、「手彫り開運印鑑」を読んでみて、開運印鑑、手彫り印鑑を販売している
お店の宣伝文と比べてみて下さい。
疑問があるようでしたら直接電話で質問してみる事をお勧めします。
食品の偽装は大きなニュースになりますが、ハンコの偽装はニュースになりません。
生活、生命を維持する為に(通常は)毎日必要なもので
品質によっては健康、生命に関わる物(食品)と
使わない人はほとんど使わない物(印鑑)との違いでしょうか。
食品はみな関心があってもハンコに関心がある人はほとんど居ません。
しかし、「無法地帯」がまかり通っていいのでしょうか。
私の話と開運商法をしているお店のセールストーク どちらを信じるかは自由ですが
信実は一つです。
ここまで読んで迷っている方はQ&Aをご覧下さい。

| 本サイト内のリンク一覧 |
| 本サイト内の文章で付記説明の必要な語句にはリンク先で別途説明文があります。 |


老舗ハンコ屋が書く本当の話 〜簡単に言えば「インチキ」の一言です〜
ハンコが必要になり、買う時にどのお店でどの様なハンコを作ろうか迷った方は多いと思います。
今はインターネットが普及しているので、検索エンジンで探すと実に多くの
「開運のハンコ」や「開運(なる)書体」というものが溢れています。
●何となく普通の印鑑より良さそうな感じがすると思う方
●「開運」と紹介され販売されている印鑑なので何だか得をした気持ちになると思う方
●本当にご利益があるかはわからないけど、同じ値段で縁起物ならその方がいいと思う方
●誕生日や姓名からきちんと鑑定してもらい、いいハンコを作りたいと思う方
いろいろいらっしゃると思います。
そんな方々は是非一度こちらを読んでみて下さい。
知らない方には必ず「目からウロコ」になると思います。
開運商法とは無縁のハンコ屋である私の正直な感想ですが
印鑑のネット販売サイトの9割位はいい加減なサイトです。 (膨大なサイト数を考えますと現実は99.9%です)
「えーっ そんな訳ないでしょ それじゃほとんどのサイトがいい加減って事? ウソだ!」
全てのサイトを調べるのは無理ですので9割だか8割だかは何とも言えませんが
ほとんどののサイトはいい加減という事です。 (いい加減=印章業界の二大汚点の両方またはどちらかが混ざっているという意味です)
では具体的にどこがいい加減か・・
開運の印鑑について
ほとんどのお店で「開運なる印鑑」「開運なる書体の印鑑」というのを販売していますが
ハンコで開運になるという言い伝えはなく、近年になって業者さんが商売として
考えた販売方法だという事はご存じでしょうか。 (開運商法です)
ハンコ(正式には印章といいます)は古くはメソポタミアの封泥から始まり
中国を伝わり卑弥呼の時代に日本へ伝来したものです。
歴史的に見ると、一部は祭礼的に使われたハンコもある様ですが
今、巷で売られている開運の印鑑とは何の関連性もありません。
現在のような「開運や吉相」なるハンコが登場したのは、あくまでも近代になって
一部の業者さんが「商売方法」として作りだしたものなのです。
それを戦後、 印材加工業者さんや小売店が次々と「右へならえ」していき
現在のように広まりました。。
そこで疑問が湧く方が居ると思います
「それのどこがいけないの? 開運になるならいいんじゃないですか?」
という疑問です。
業者さんが商売で考え出した方法にご利益があるのか無いのかは
見えない世界ですのでここでは言及を控えます。
しかし、問題なのは全てに共通している「開運なる書体」です。
その説明の前に印鑑の価値について説明させていただきますが
ハンコは字が命であり、その字は書道の分野と一緒です。
字は書道の分野という事は考えてみれば当然な事ですが、そこにハンコが絡むと
一般の方はわからなくなってしまうのではないでしょうか。
多くのサイトでは、「字の紀元である篆書体を改良した 印鑑に適した書体」とか書いてあります。
しかし、正しくは「改良」でなく単に「変形」させただけで、実際「開運なる書体」というものは書道では通用しません。
「開運なる書体」で書の掛軸を作っても価値はゼロです。
もちろんきちんとした書道競技会で開運なる字は出品すらありません。
「価値を論ずる事も出来ないほど奇妙なもの」ですので当然です。。
身近に書道の先生が居たら、「開運なるハンコの印影(または書体)」を見てもらって下さい。
そのようなハンコが無い場合は、ネットからプリントして見てもらってもいいと思います。
その先生が印章業界と関係無い方でしたら、「開運の書体」を見て
絶対にいいとは言わないはずです。
辛口の先生ならば「こんなハンコ 絶対に買ってはいけません」と言うはずです。
また
ハンコの業界(印章業界)には職人の技術競技会があります。
しかし、この大会で「開運なる書体」の受賞は皆無です。
もっとも、ハンコ屋さんは皆「開運なる書体」の印鑑は「あくまでも商材」という事がわかっているので
出品を希望する人など居ませんし、書道で通用しない書体で受賞できる訳ありませんので
そんな無駄な事をする人は居ません。
何よりも、出品したら笑い者になるので誰一人そんな真似はしません。
更に もう一つ
政府中央機関から地方自治体まで、公共機関で様々な印鑑が使われますが
開運なる書体の印鑑はありません。
全ての調査、確認をした訳ではありませんが、私は実際に役所へ納品していましたのでわかります。
これも技術競技会同様、ハンコ屋さんでその様な事をする業者は居りません
(=商材に過ぎないと皆知っているからです)
上場企業のハンコ(印影)を見る機会はありますでしょうか。
保険に加入していれば契約書に押してある(通常は印刷)はずです。
株式を持っていれば決算書類のどこかに印刷されているはずです。
上場企業で「開運なる書体」の印鑑はほとんどありません。
***「いえいえ 会社と信仰は別ですから」
とお思いの方
しかし、上場企業でも建物を建てる際には普通「上棟式」を行います。
これは信仰に関係しているからですが、信仰に関係する開運印鑑を社判として使う事は(ほとんど)ありません。
更に
今の印鑑は丈が60ミリのものが主流ですが、戦前は45ミリや36ミリが主流でした。
そして捺印の際、ハンコの上下がわかりやすい様に「しるし」や「丹」入りのものが一般的でした。
しかし、開運商法の業者さんが
1)「ハンコの自分の分身だから傷を付けるのは良くない」 とか
2)「ハンコを押す時は重要な時だから、しるしの無い印鑑を使い、押す時に印面を見て上下を確かめ
その際に『本当にこの書類に捺印していいのか』を改めて考える為にも''しるし''の無い印鑑を使う事がいい」
と宣伝する様になり、それを印材業者業者さん、多くの小売店が右へならえした結果
しるしの無いものが多くなってしまいました。
1)について
昔からある利便的な「しるし」や「丹」を印象悪く感じさせる為にわざと「傷」と表現されました。
印鑑は大切な物ですが、自分の分身という伝えはありません。 (業者さんが考え出したセールストークです)
無地(しるし無し)がいい印材という根拠や言い伝えもありません。(そもそも無地の印材は落款印を除いて昔はありませんでした)
2)について
これは一見開運と関係無さそうですが、実はこれも開運業者さんが考え出した話です。
それをとある有名人が語り、お店側がセールストークとして宣伝した為に多く広まりました。
書類への捺印を慎重に行う事は非常に重要です
しかし、書類の重要性とわざと不便なハンコを使う事は別問題です。
ハンコに朱肉を付けていざ捺印という段階で、上下わからないハンコの印面を見ながら
書類の重要性を考えるという事なのでしょうか。
捺印の重要性にハンコの利便性を絡めてセールストークを考え、わざと不便なハンコを
時代に逆行して作り出すのはいかがなものでしょうか。 <上下のしるし補足説明→こちら>
もっとも、開運なる書体は非常に見づらく(特に画数が多い場合)注意して印面を見ても
上下逆さまに押してしまう事があると思います。
私の話だけでは半信半疑の方も居るかと思いますので写真を用意しました。